介護食の加工の種類と提供する上で大切なこと

人は高齢になるにつれ、噛む力と飲み込む力が弱くなっていきます。また、高齢者は20代に比べて唾液の量が7分の1になるというデータもあり、嚥下しづらくなり誤嚥も増える傾向にあります。そんな高齢者が食べやすいように工夫をした食事のことを、介護食と呼びます。介護食の加工方法は、主に刻み食・ソフト食・ミキサー食・ゼリー食の4つの分類に分けられます。

刻み食は、食事を細かく刻んだもの。ソフト食は、やわらかい煮込み料理にしたり、食材をミキサーにかけて固めたりしたものを言います。ミキサー食は、ミキサーにかけてポタージュ状にしたもの。ゼリー食はミキサーにかけてペースト状、あるいはゼリー状にしたものを指しています。刻み食は、噛む行為に問題がある人に最適な調理法です。一方、ソフト食は噛む力と飲み込む力の双方が弱い人におすすめです。ソフト食が厳しいレベルにある場合は、ミキサー食に移行する形になります。さらに、ゼラチンや寒天、でんぷんなどを加えて、ゼリー状にとろみづけして飲み込みやすくしたのがゼリー食。嚥下障害を持っていて誤嚥の可能性が高く、注意が必要な人に適用される調理法です。

このように噛む力と飲み込む力を考慮した調理法も大事ですが、もっと気を遣うべきことがあります。それが、料理の見た目と味です。見た目が悪く、味も美味しくなければ、そもそも当人の食欲がわかず、思うように食べてもらえません。そうならないよう、旬のものを取り入れたり、彩りを意識したり、盛り付けを工夫したりして、高齢者が「食べてみたい」と思うような料理に仕上げることが求められます。